肘が急に激痛で曲げられなくなった。 中学生野球選手の肘のロッキング改善症例。

14歳 男子 野球選手 投手 左投げ

腕橈関節滑膜ヒダのロッキング(関節内で挟み込まれて戻らなくなった状態)と思われる症例

 

原因

授業中、左手で字を書いていたら急に肘に激痛が走り、肘の屈曲や肩の挙上が出来なくなる。

 

経過

同日、整形外科でレントゲン、MRI撮るも原因不明。痛みが強い為、シーネ固定を行う。

同日夜、かかりつけ整骨院で治療してもらい、肩は挙上出来るようになるが、肘の屈曲制限は全く変わらなかった。

週末の野球の九州大会で、先発登板予定だった為、翌日、コーチの紹介ですみだ整骨院に来院されました。

 

肘関節周囲の腫れもなく、腕橈関節の部分に圧痛がありました。肘関節が痛みの為、110°以上、曲げられない。伸ばす方は少し伸びにくい程度で痛みはない状態でした。

エコー観察を行い、腕橈関節の滑膜ヒダが、頭骨頭側に寄っているように見え、腕橈関節のロッキングと判断して整復操作を行いました。

整復後は、少し痛みが残るが、肘関節の曲げ伸ばしが完全に出来るようになりました。

肘が曲げられなくなった時は、試合出場を諦めていましたが、試合に出れると喜んで帰ってもらえて私も嬉しかったです。

 

翌日の治療前には、痛みなく完全に曲げ伸ばしや全力投球、バッティングも出来るようになりました。

2回目の治療は、肘というより身体全体的な動きや筋出力や神経系の反応を高める治療を行いました。

 

週末の12試合、2日間の大会で、1日目の初戦、2日目の準決勝で、先発登板が出来ました。

4試合で打率5.33と投打で大活躍、チームの準優勝に貢献し、スポーツ新聞にも掲載されました。

https://youtube.com/shorts/QJCiAZyPq6Q?si=RtM-mhXue73k8qM7

 肘関節のロッキングは、関節ネズミと呼ばれる軟骨が剥がれた遊離骨片が関節内で挟み込まれて起こる症例が多く、今回の滑膜ヒダのロッキングと思われる症例は、臨床報告も少なく、私自身も25年以上の治療経験の中でも初めてでした。

 

滑膜ヒダとは、上腕骨小頭と橈骨頭の腕橈関節と呼ばれる肘の外側の関節を包む関節包の一部が内側に突出したヒダで、半月板のような軟骨と違い痛みを感じる神経も含まれます。

その役割は、まだ解明されていないようですが、肘関節内の圧の分散や衝撃緩衝と考えられています。

滑膜ヒダが元々、分厚い人もいて個体差が大きいですが、肘の後外側が分厚い人が多いようです。

 

滑膜ヒダは、肘の曲げ伸ばしの機械的なストレスにより関節内で挟み込まれて(インピンジメント)、腫れたり、滑膜増殖し、肘の屈伸痛になることも報告されております。

 

今回の症例では、今まで一度も肘が痛くなったことがなく、字を書くというちょっとした肘の動きで運悪く、滑膜ヒダがロッキングしてしまったものと考えます。

 

滑膜ヒダが、繰り返し挟み込まれ、滑膜増殖を起こして痛みがなかなか治らない、何度もロッキングを起こす場合、内視鏡で部分的に切除することもあります。

関節ネズミや変形により、肘が曲げれないの場合、手術適用になることが多いです。

 

肘の曲げ伸ばしの痛み、制限があるなどでお困りの方は、エコーがあり、肘関節の治療経験が豊富なすみだ整骨院にご相談ください。