肩が上がらない、寝ていて痛みで何度も目が覚める‼︎それって50肩⁉︎肩の腱が切れている⁉︎(腱板損傷)40肩、50肩と腱板損傷の見分け方、治療について
急にまたは段々と肩が痛くて上がらなくなった。夜中に痛みで何度も目が覚めるといった症状ですみだ整骨院に来られる患者様は多いです。
問診をしていく中で、転んで肩から落ちた、手を着いたなどはっきり原因のある方や思い当たる原因がない方、庭の剪定や窓拭きをした、家の片付けをしたなど繰り返し手を使った後から肩が痛くて上がらなくなる、夜中に痛みで何度も目が覚めるなどの症状を起こすことがあります。
肩が痛くなると皆さんが1番に想い浮かぶのは40肩や50肩(以下、50肩で統一)という名前じゃないでしょうか?
50肩は、整形外科では肩関節周囲炎や凍結肩または拘縮肩という診断名がつくことが多いです。
50肩とは、どんな症状になるのでしょうか?
安静時や寝ている時の痛み、肩を挙げる、後ろに手を回すなど動かした時の痛みや肩を動かせる範囲が狭くなるなどの症状がみられますが、時期によって症状の度合いが変わってくるのが特徴的です。
freezing phase (炎症期) 初期
怪我をしたなどの原因がない、または庭の剪定など日常生活の繰り返しの動作の後に肩の不快感や疼痛が起こり、痛みにより肩が上がらないなどの症状に加え、じっとしていても痛い(安静時痛)、夜に痛みで目が覚める夜間痛が発症する。その後、徐々に肩の上がる範囲が狭くなってくる時期
frozen phase (拘縮期) 中期
徐々にじっとしている時や寝ている時の痛み、肩を動かした時の痛みが少なくなっていき、日常生活でも肩が動かしやすくなるが、動かす範囲が狭い時期
thawing phase (寛解期) 終末期
動かした時の痛みも少なくなっていき、徐々に動かせる範囲が回復していく時期
治るまでにどれくらい時間がかかるの?
整形外科では一般的に発症から回復まで軽度で6ヶ月、重度になると2〜3年ぐらいと言われています。治療をせずに自然に痛みが治るのを待った人は、ある程度まで動かせるが反対側と比べると動く範囲が狭まっていることも多いです。
腱板損傷とは⁉︎
腱板とは、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という4つの筋肉が上腕骨に付く時に腱同士が合わさって板状になった部分を指します。
腱板を構成する4つの筋肉は肩の動きを円滑に行う為に働くインナーマッスル(肩の奥の方にある筋肉)です。
棘上筋が最も損傷しやすく、棘下筋、肩甲下筋も同時に損傷しているケースもあります。(広範囲断裂)
腱板はどんなふうにして損傷するの?
転んで手を着く、肩から落下してぶつけるなど1回の怪我で損傷する場合
怪我した直後からすぐに腕が上がらなくなったり、痛みを強く感じたりします。
繰り返し腕を使う事で徐々に損傷する場合
腱板は、なんと50歳を過ぎた方だと10人に2人は何らかの損傷をしていると言われています。年齢が上がるにつれて、発生頻度が上がります。(80歳代
このように徐々に損傷する人は、元々の骨の形や向きの問題がある人が多いです。
ただ損傷をしていても痛みや腕が挙がらないという症状を訴える人は、少ないです。3/4は無症状というデータもあります。
整骨院に肩の痛みで来院される患者様は、窓拭きで腕を挙げる、草取りなどで繰り返し手を使った後から痛くなったり、段々と痛くなったりする事が多いです。
なぜ腱板損傷をしていても腕を挙げる事が出来たり、痛くならない人が多いの?
腱板損傷の切れている場所や範囲によって変わってきます。
腱板は上腕骨頭を肩甲骨に引きつけて肩関節の動きを滑らかにする働きがあります。
腱板の広範囲で切れている場合、腕を挙げようとしても上腕骨に力が伝わらず自分で挙げる事が出来なくなります。また上腕骨頭を肩甲骨に引きつける力が弱くなり上に上がってしまいます。その為、肩関節を挙げようとしても上腕骨頭が肩峰にぶつかりひっかかってしまい、それ以上挙げる事が出来なくなります。
腱板と肩峰の間には、肩の動きを滑らかにしたり、ぶつかる時の衝撃を和らげたりする働きのある肩峰下滑液包という薄い袋が存在します。
その肩峰下滑液包が繰り返し肩峰にぶつかる事で、滑液包が炎症を起こして腫れてきます。(肩峰下滑液包炎)
腱板損傷為と肩峰下滑液包炎はセットになっている事が多く、腕が上がらない、動かすと痛い、酷くなると動かしていない時にもズキズキ痛いという症状を訴えます。
また腱板も部分的に損傷している(部分断裂)場合、上まで挙げることは出来るが、60〜90°付近で下ろす時にカクっとなり痛みを訴える症状がみられます(painful arc sign:ペインフルアークサイン)
一般的に整形外科では、どうやって50肩や腱板損傷を診断されるのでしょうか?
レントゲンは基本的に骨しか映りません。50肩、腱板損傷もどっちとも骨そのものに問題がないので、レントゲンを撮っても異常が見られない事が多いです。
ただ腱板損傷を起こしていると上腕骨頭が上に上がっているので、肩峰と上腕骨頭の間が狭くなります。また長い間、肩峰と上腕骨頭がぶつかっていると肩峰や上腕骨頭に変形がみられます。
腱板損傷を起こしやすい人は、関節の向きや骨の形に特徴があります。
① 肩峰が長い
② 関節窩が上を向いている
50肩の場合、ほとんどレントゲンを撮っても大きな変化もない為、異常が見られないです。患者本人にとっては凄く痛みがあって辛くても骨には異常がないです。50肩と診断されて自分で動かしてくださいとパンフレット渡されただけという話もよく聞きます。
※ 長い間、動かせないでいると血流が悪くなる為、上腕骨頭の骨が萎縮してくることもあります。
肩の専門医がいる整形外科では、レントゲンを撮らずにエコーで腱板が損傷していないか判断される事もあります。
エコーは、放射線被曝することもなく、レントゲンに写らない皮膚から骨の間までの皮下組織、腱や筋肉などの組織を観察するのに適しています。
エコーでは、動かしながら観察する事で、関節包や筋肉の柔軟性、癒着の度合い、腱板の損傷具合を確認する事が出来ます。
MRIを撮影する事でより詳細な状態が確認出来ます。
50肩と腱板損傷の見分け方
セルフチェックポイント
50肩や腱板損傷も肩の動かした時の痛みや夜寝ている時の痛み、腕が挙がらないなど共通している部分も多いです。簡単なセルフチェックポイントをお伝えします。
① 痛くない方の手で支えて痛みがあっても肩を挙げる事が出来るかどうか?
出来る場合(肩の可動域の制限が あまりない)→腱板損傷、肩峰下滑液包炎、初期の50肩などの可能性があります
出来ない場合(肩の可動域制限が著明)→50肩の可能性が高い
② 脇を締めて手を外に開く動きが出来るかどうか?
出来る→50肩以外の問題の可能性が高い
自分では出来ないが、人に動かしてもらうと開く→腱板損傷の可能性が高い
自分でも他人が動かしても出来ない→50肩(中期以降)の可能性が高い
すみだ整骨院では、どんな治療をするの?
50肩では、肩が固まっているから痛くても我慢してどんどん動かした方がいいと思っている人も多いと思いますが、時期によって治療法も大きく変わります。
50肩の初期(炎症期)では、痛みを我慢して無理やり動かすとかえって症状を悪化させる可能性があります。肩関節の中で起こった炎症が治るように痛みの出ない範囲で動かす程度にします。
痛みが強い場合、自分の腕の重さで下に引っ張られるという通常時にかかっているストレスも痛み刺激になります。 その為、三角巾で腕を吊る事で 腕の重みで引っ張られるストレスを軽減させ、 腕を使わせないようにして早く痛みを落ち着かせる 方法を取る事もあります。
炎症が落ち着き関節の拘縮が進行し、可動域が狭まってくる段階(拘縮期)では、少しずつ可動域訓練を行います。
寝ている時の痛みが消失(寛解期)したら積極的に可動域訓練を行います。
すみだ整骨院で行っている治療は、痛みを出さないようにして炎症を早期に抑え可動域を広げていきます。
50肩も拘縮の程度で完治までの期間が大きく変わります。
拘縮期の段階で30°ぐらいしか挙がらない重度の50肩で早期に日常生活に支障がないぐらい回復したい方は、肩の専門医で関節鏡手術をした方が早いかもしれません。
実際に重度の50肩は、すみだ整骨院で完治するまで治療させて頂いた患者様で週に1回の治療をして最長1年かかりました。
拘縮期の段階で90°ぐらい挙がっている人は、週に1回の治療で3〜6ヶ月を目安に完治しています。
寝ていてる時の肩の痛みは数回でなくなる事が多いので、夜眠れるようになるだけでも日常生活の苦痛は軽減します。ただ拘縮を伴った50肩は、完治するのに時間がかかることを念頭に置いて治療に取り組んで頂きたいです。
腱板損傷の場合、損傷の程度や範囲にもよりますが、30°ぐらいしか肩が挙がらなくても3回程度で肩が挙がることが多いです。
腱板の中でも棘上筋腱の全層断裂であっても、棘上筋腱の全てが断裂していることは少ないので、三角筋や他の腱板がその機能を補ってくれるようになれば、肩が挙がるようになります。
また腱板断裂だけでなく、頚椎から出ている神経の圧迫により、三角筋などの上腕部の筋肉に力が入りにくくなる麻痺を伴っていると肩が挙げれるようになるのに3ヶ月ぐらいかかることもあります。
まずは1ヶ月、保存的に治療してそれでも改善しない場合に手術を考えた方がいいと思います。
肩が挙げれずにお困りの方、ぜひすみだ整骨院にご相談ください。
