転んで手首を着いてからずっと痛みが治らない!!それは、見落とされやすい舟状骨骨折かもしれません!?
舟状骨とは?
舟状骨は、手根骨と呼ばれる手首の部分の8つの小さな骨の1つで、親指側に位置し、手根骨の中で最も骨折しやすい骨です。
どうやって怪我するの?
スポーツなどで転んで手を着いて怪我します。スポーツ中の怪我が多く、10〜20歳台が多いです。
どんな症状があるの?
手首の親指側のSnuff boxと呼ばれる窪み付近の腫れや圧痛と手首や親指を動かした時に痛みが見られます。とくに立ち上がる時に手を着くと痛い、物を握る、手首を捻るなどの動作時に痛みを訴えることが多いです。
なぜ見落とされやすいの?
手を着いて舟状骨を骨折しても大きく骨がズレて折れるよりヒビ程度の損傷を起こす事が多いです。レントゲンでは、ヒビ程度の損傷の場合、怪我した直後は骨折線が写らず、捻挫と診断されている事もあります。捻挫だと言われて固定もせずに湿布を貼って様子を見ていたけど、2週間以上経っても痛みが退かず、別の整形外科を受診して骨折が見つかるケースがよくあります。
これは、怪我した当初はヒビ程度の骨折であっても10日くらい経った頃から破骨細胞が働いて、ヒビ部分の骨が吸収されて骨折線が確認されるようになるからです。時間が経った時の方が、診断が付きやすいです。
舟状骨骨折しているのに気付かずに手を使っているとどうなるの?
2〜3週間ぐらいすると怪我した直後のような手首や親指を使った時の激痛はなくなりますが、立ち上がる時に床に手が着けない、手首や親指を使う時にずっと鈍い痛みがある、握力が弱くなるなどの症状が続きます。
そして、3ヶ月程、経ってレントゲンを撮ると骨が2つに分かれた状態になっている(偽関節)、骨が小さくなる(無腐性骨壊死)になっている事もあります。さらに病院を受診せずに手を使い続けていると舟状骨と橈骨の関節部分が変形を起こし、より動かせなくなったり、痛みが強くなったりします。(SNAC wrist)
なぜ舟状骨骨折後に偽関節や無腐性骨壊死、SNAC wristが起こりやすいのでしょうか?
舟状骨の栄養血管は遠位(指先側)から近位(手首側)に向かって侵入してきます。舟状骨骨折の最も多い腰部の骨折を起こすと正確な整復や適切な時期の固定がなされないと近位(手首側)の骨折部にストレスがかかったり、骨が癒合(くっつく)する為の血液供給が得られず、偽関節(骨折部が癒合しない)や近位(手首側)の骨が萎縮して無腐性骨壊死を起こしやすくなります。
本来の関節面の適合性が合わない状態で手首や親指を使い続ける事により、関節の変形が生じてきます。
舟状骨骨折を見逃さない為には?
手を着いて転んで、すみだ整骨院に最初に来られて、手首の親指側のSnuff boxと呼ばれる窪み付近の腫れや圧痛と手首や親指を動かした時に痛みが見られた場合は、舟状骨骨折を疑います。
下の写真の〇で囲んだ部分に押した痛みがあるか確認してみてください。
整形外科医の判断にもよりますが、レントゲンだけでは分からない場合でもCTやMRIを撮る事で早期に発見出来る事もあります。
骨が癒合(くっつく)までどれくらいかかるの?
手術をしないでギプス固定をした場合、一般的には固定期間は約2ヶ月、完治までおおよそ3ヶ月ぐらいになります。すみだ整骨院では、ギプス固定期間中も骨癒合を早めるLIPUS(低出力パルス超音波)を骨折部に当てます。
手術をした方がいいの?
舟状骨の骨折の具合により変わってきます。骨のズレが大きい場合、2ヶ月近くギプス固定する事になり、手首や親指の日常生活動作は制限されてしまいます。一般的には固定により指や手首の動きが悪くなり、リハビリもその分、長くなります。
治療期間を短縮したい方は手術をされた方がいいかもしれません。骨折してすぐの場合、骨折部に小さなスクリューを入れる事で、負荷のかからない日常生活動作は術後すぐに出来るようになります。
ただ骨のズレがほとんどない場合やズレがあっても綺麗に整復ができ、2〜3ヶ月かかってもいいので、なるべく手術をしたくない方は、ギプス固定で治療をしていきます。
偽関節や無腐性骨壊死を起こしてしまった場合、手術をした方がいいかと思います。
すみだ整骨院での治療
舟状骨骨折を疑う場合、応急的に整復を行い、肘上から親指までの固定をします。
ヒビが入った状態であれば、ギプスではなく取り外しの出来るシーネ固定を行います。
手首部分が痛いのに肘上まで固定をしないといけないのと言われることもあります。舟状骨骨折の場合、手首や親指の動きだけでなく前腕の捻る動きでも骨折部にストレスがかかってしまいます。その為、大袈裟に思われても安全の為に肘上まで固定をし、整形外科に紹介状を書いて受診してもらいます。
ギプスやシーネなどで固定をし、骨折部の骨が早く癒合する為にLIPUS(低出力パルス超音波)を当てます。
エコーで骨折部の骨の治り具合を定期的に観察し、整形外科でも定期的にレントゲンなどを撮ってもらいます。
ある程度、骨折部が安定してくると上肢渦流浴(お湯の中で超音波を発生させる治療機器)で患部を温めた後に親指や手首の可動域訓練を行います。
手を着いて手首の痛みがずっと治らないなどでお悩みの方、もしかしたら過去に舟状骨が折れていた可能性もあります。まずは、整形外科でレントゲン等の検査を受けることをお勧めします。それで偽関節など大きな問題がなければ、すみだ整骨院でも治療出来ると思います。
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